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会社防衛と定款によるオーダーメイド株式会社

阪神タイガースの上場問題に関しては野球ファンでなくても興味があるところだと思います。
その前には、ライブドアによる買収騒動が世間を騒がせました。
ホーリーナイト、株式の第三者割り当て等多くの企業防衛策が世間をにぎわしていたことは記憶に新しいところだと思われます。

今回書くことはこの企業防衛に少しは関係することです。
興味がある方は以下読んでみてください。


まだ、会社法は施行(法律のルールが現実に適用されること)されておらず、現在では企業防衛として使いにくいとは思いますが、会社法が施行された場合企業防衛の手段として、
議決権制限株式」があります。
この「議決権制限株式」ってなんじゃそら!?という方のために、、
少し説明しておきますと、読んで字のごとく、
「定款(会社の目的、会社内でのルールを定めたもの。)の規定によって株主が議決権を持たないものとされた株式をいいます。」

では、この「議決権制限株式」がどのように企業防衛と関係してくるのでしょうか?
たとえば、株主は株主総会において意見を言うことができ、
その後議決をすることができます。
そして、議決をするということは当たり前のようですが
多数派の意見が会社の経営に当たって反映されるということです。
先のニュースのように村上さんが多くの株式を取得し、
自分の意見を通す、「会社を上場させるようにしろ」という意見が
多くの株式を持っていると通りやすくなるのです。


その場合、村上さんのような株主への対抗手段として登場するのが議決権制限株式です。
現在の法律では、議決権制限株式の発行には制限があります。
しかし、この議決権制限株式が5月から施行予定の会社法においては、その発行に関する制限がないのです。


では、具体的にどのように企業防衛に役立つのか?
例えば、会社のオーナーの地位で株を持っている人が
自分が持っている株式以外をすべて「議決権制限株式」に変えてしまいます。
そうすれば、その議決権制限株式をいくら持っていたとしても、
議決権がないのであるから、極端な話、発行済みの株式の99%を持っていたとしてもそれがすべて議決権制限株式であれば、会社に意見を出すことができなくなります。
少し、大雑把に説明しましたが、このような企業防衛も考えられるということです。
難点は株主総会で、大量の株式を議決権制限株式にするといった主張が通るか否かです。

で、これで終わり?かといえば、「オーダーメイド株式会社」という最初の表題のことを書いて終わりにしたいと思います。

5月から施行されるであろう会社法のかなりの条文で言えることですが、
現在使われている法律にあった多くの制限が削除又は縮小されました。
例えば、最低資本金制度の廃止(現在株式会社を作るためには原則として最低でも1000万円分の資本金を集めておかないといけない。)、自己株式の取得がしやすくなった(今まで自己株式を取得する事は、お金をもらった人にお金を返しているのと同じ効果が生じ、会社の財産が減ってしまうことから制限されていました。)等です。


このように、会社を作る、運営するという各場面において、
いわば利益を得ることを阻害してしまうような制限等は
原則なくなったといえます。
これは、あまり個人がすることに国家が介入することなかれ!
という法律チックに言うと
「私的自治の原則」がより強化されたといると思います。

それにより、今まで制限の中である程度会社の形はこうだ!と
決まっていたところ、多くの規制が緩和されました。
私の会社では、ほとんどの会社の議決権をなくしてしまおう!といった
事が自由に行えるようになりました。
これはある意味オーダーメイドで株式会社が作れるようになったといえます。

ただ、自由であるということはそれなりに責任も負います。
例えば資本金が0円だと世間的評価は低い上に
銀行からお金も借りれない恐れもあります。
また、適正な管理が要求されるコーポレートガバナンスを
行わない企業は世間の評価を得れない可能性があります。
自由であるということは、その分自分の責任も増えることだといえます。
会社法施行に当たって企業の目的である定款を再考されることを望みます。

ここまで、読んでいただきありがとうございました。
また、コメント待っています。

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